解説

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、血小板膜蛋白に対する自己抗体が発現し、血小板や巨核球に結合する結果、脾臓における網内系細胞での血小板破壊の亢進と骨髄での血小板産生の抑制が起こり、血小板減少を来す自己免疫疾患です。
主に血小板膜糖蛋白[GPIIb/IIIa(CD41/CD61)及びGPIb/IX(CD42)など]を標的とする抗血小板自己抗体によりオプソニン化された血小板上の抗血小板自己抗体のFc部分がFcγ受容体に結合すると、その下流にある脾臓チロシンキナーゼ(Syk)シグナルが活性化され、主に脾臓のマクロファージによって貪食・破壊されることにより血小板数が減少します。
また、病態の維持機構として、網内系マクロファージが抗血小板自己抗体によりオプソニン化された血小板を大量に貪食するために自己反応性T細胞が活性化され、B細胞からの抗血小板自己抗体産生を刺激し、マクロファージ、血小板反応性T細胞及び抗血小板抗体産生B細胞による病的ループが成立して、抗血小板自己抗体の過剰な産生が維持されると考えられています1,2)
ホスタマチニブは生体内で活性本体であるR406に代謝され、Sykを阻害します。これによりマクロファージによる血小板の貪食及び破壊を抑制します3-5)

ホスタマチニブの作用機序4)

ホスタマチニブの作用機序

1)桑名正隆:最新医学. 68, 1362, 2013
2)Kuwana M, et al.: J Thromb Haemost. 7, 322, 2009
3)承認時評価資料:薬効薬理試験
4)Newland A, et al.: Immunotherapy. 10, 9, 2018
(Rigel社の資金提供により実施され、著者に同社より研究支援料等を受領している者及びRigel社の社員が含まれる。)
5)Paik J.: Drugs. 81, 935, 2021

監修:日本医科大学付属病院
リウマチ・膠原病内科 教授 桑名 正隆 先生

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