KISSEI

ANCA関連血管炎の治療指針 ~診断~

他覚所見

皮膚所見

  • ・細小血管炎に特徴的な皮疹としては、点状紫斑、網状皮斑(リベド)、皮膚潰瘍などがあげられます。
  • ・紫斑は、圧迫で消失しないことにより紅斑と区別され、しばしば正常皮膚表面より盛り上がった触知可能な紫斑(palpable purpuraと呼ばれる直径5mm以下の点状紫斑)を呈します。
  • ・網状皮斑は、マスクメロンの外観をした、紫紅色の網目状の皮膚臨床所見であり、上からガラス板やプレパラートで押し付けると色が消える紅斑のことです。
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p73-74, p106-108, 2017

腎所見

  • ・腎病変がみられるほぼ全例で尿潜血、約60%で急速進行性糸球体腎炎(RPGN)を認め、RPGNの有無、その活動度及び進行度が生命予後、特に腎予後に極めて強く関連しています。
  • ・診断された年代別にみたRPGNにおける初発症状の調査において、倦怠感や発熱、食欲不振、体重減少などの非特異的症状を認める症例が増加していることが示されています。
  • ・ANCA関連血管炎に伴う腎病変において、血尿は頻度が高い症状であり、沈渣では変形赤血球のほか、白血球やこれを含む様々な細胞性円柱を伴うことが多いとされています。
  • ・蛋白尿はほぼ陽性となります。
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p93-95, 2017

鼻・副鼻腔所見

  • ・鼻・副鼻腔病変は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)に特徴的であり、GPAの鼻病変では、鼻中隔や下甲介に膜状または膠状の痂皮(かさぶた)を伴った肉芽様粘膜肥厚がみられ、痂皮を除去すると易出血性で、痂皮の下に肉芽や潰瘍を認めます。
  • ・進行すると鼻中隔軟骨の侵食や破壊によって鼻中隔穿孔をきたし、その結果、鞍鼻となります。
  • ・副鼻腔病変は画像検査にて評価し、陰影像を呈しますが、GPAに特異的な所見ではありません。
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p101-106, 2017

咽喉頭所見

  • ・咽頭病変としては粘膜の肉芽性病変や潰瘍性病変が主体となり、喉頭病変としては肉芽性病変が多いとされています。
  • ・GPAでは肉芽性病変により声門下狭窄を生じることが特徴で、嗄声をきたし、進行すると呼吸困難になります。
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p101-106, 2017

耳所見

  • ・多発血管炎性肉芽腫症(GPA)による中耳炎またはMPO-ANCA陽性中耳炎は共通した臨床像を呈することから、ANCA関連血管炎によって生じる中耳炎をANCA関連血管炎性中耳炎(otitis media with ANCA-associated vasculitis:OMAAV)と呼ばれる疾患として扱うようになっています。
  • ・鼓膜所見では中耳貯留液が透見できたり、鼓膜の発赤、腫脹、混濁、肥厚と鼓室内に肉芽がみられたりします。また、外耳道に高度の腫脹を伴い、鼓膜が見えないこともあります。
  • ・CT所見では、鼓室や乳突蜂巣に軟部組織影を認めます。
  • ・側頭骨及び頭蓋内の病変評価に造影MRIも重要であり、MRI所見として、内耳道内の脳硬膜や蝸牛に強い造影効果を有する場合もあります。
  • ・OMAAVの約30%は肥厚性硬膜炎や顔面神経麻痺を伴い、肥厚性硬膜炎は硬膜が慢性炎症によって肥厚した病態であり、頭痛が90%以上の症例に認められ、第Ⅸ、Ⅹ、Ⅻ脳神経の麻痺を複数きたすことが多いとされています。
  • ・OMAAVの顔面神経麻痺は、Bell麻痺とは異なり、両側性や再発することが特徴です。
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p101-106, 2017

肺所見

  • ・肺病変は胸部単純X線及び胸部高分解能CT(HRCT)で評価します。
  • ・ANCA関連血管炎の間質性肺炎では胸部単純X線で両側下肺野優位に網状影や輪状影を認めることが多く、胸部CTでは胸膜直下の網状影やすりガラス陰影、蜂巣肺、牽引性気管支拡張、浸潤影などが認められます。
  • ・間質性肺炎の画像パターン分類は、米国胸部医学会(ATS)/欧州呼吸器学会(ERS)/日本呼吸器学会(JRS)/ラテンアメリカ胸部医学会(ALAT)の特発性肺線維症(IPF)ガイドラインに準じ、definite通常型間質性肺炎(UIP)、possible UIP、inconsistent with UIPと分類されることが多いとされています。
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p95-98, 2017

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