いまさら聞けない透析の基礎知識
透析医療の基本知識についてお届けします。
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たまには外食を楽しみたい・外食が多いという患者さんの食事指導
監修医師:小岩 文彦 先生 昭和大学藤が丘病院 内科系診療センター内科(腎臓)
外食には、気分転換やストレス発散、家族や友人等との楽しい時間の共有など、さまざまなメリットがあります。料理の選び方や食べ方をアドバイスし、無理なく食事療法を続けられるようにサポートしましょう。 お店で提供される料理は味付けが濃く、肉や魚の量が多めですが、少し工夫することで、食塩、たんぱく質、カリウム、リンの摂りすぎを防ぐことができます。麺類はできるだけ避けてもらいたいところですが、どうしても食べたいときや、付き合いで食べざるを得ないことがあるかもしれません。そのようなときのために、麺類の食べ方も知っておいてもらうとよいでしょう。
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透析患者さんに適した有酸素運動とは
監修医師:小岩 文彦 先生 昭和大学藤が丘病院 内科系診療センター内科(腎臓)
有酸素運動は、低強度のウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳など長く無理なく安全に続けられる運動です。筋収縮のエネルギーであるアデノシン三リン酸(ATP)を、グリコーゲンなどの糖、脂肪酸が酸素とともに産生することから有酸素運動と呼ばれます。健康の維持・増進への効果は幅広く、持久力の向上、心肺機能の向上、体脂肪の減少、肥満の解消、血圧の低下、耐糖機能改善、LDH-コレステロール増加、動脈硬化の予防や改善、免疫機能の強化、寿命の延長などが認められ、心血管疾患の減少も期待できます。
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リン制限の説明のポイント
監修医師:小岩 文彦 先生 昭和大学藤が丘病院 内科系診療センター内科(腎臓)
リンは人体の電解質のうちカルシウムの次に多く、成人の場合は体重の約1%を占めます。その約85%が骨や歯に含まれ、残りの15 %は細胞膜や核酸の構成要素として体内の細胞に存在するほか、エネルギー産生に必要な物質の構成成分になっています 食物から摂取されたリンは約60%が吸収され、残りは便とともに排泄。吸収されたリンは、大半が尿から排泄されます。腎機能が低下するとリンの尿排泄が減るため、体内にリンがたまってしまいます。保存期腎不全から徐々に血中リン値が上昇しており、透析導入後も透析で除去できるリンの量は限られるため、透析患者さんは高リン血症になりやすいです。透析患者さんの管理目標値は透析前で3.5〜6.0mg/dLです4)(健常者の基準値は2.5〜4.7mg/dL)。
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透析患者さんに適したレジスタンス運動とは
監修医師:小岩 文彦 先生 昭和大学藤が丘病院 内科系診療センター内科(腎臓)
レジスタンス運動は筋肉トレーニングの一種で、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動です。筋肉量増加、筋力向上、筋持久力向上を促す効果があり、アスリートから高齢者まで広く行われています。ダンベルやマシンなどの道具を用いる方法と、スクワットなどのように自分自身の体重を利用して行う方法があります。 透析患者さんは、週3回、4〜5時間をベッド上で過ごすことに加え、合併症や加齢による身体機能の低下もあり、身体活動量が低下しやすくなります。身体活動量の低下はさらなる身体機能の低下を招き、生命予後に悪影響を与えるため、運動療法を生活に取り入れて、活動量を増やしながら身体機能を高めることが必要になります。