暑さに負けない「体づくり」と基本的対策
⼀般的な熱中症対策は、⽔分をこまめに摂る、塩分を適度に摂取するなどですが、透析患者さんにそのままあてはめることはできません。また、尿毒素の影響で⾃律神経が障害されやすい透析患者さんは、体温調節機能がうまく働かずに暑くても発汗が起こりにくく体内に熱がこもりやすい、体液量・電解質のバランスが崩れやすいといった特徴があるため、より慎重な熱中症対策が求められます。
基本となるのは、暑さに負けない「体づくり」です。⾷事療法や規則正しい睡眠、適度な運動を⼼がけ、基礎体⼒をつけることによって熱中症になりにくい体をつくることができます。服装は綿や⿇など通気性のよいもの、下着は吸⽔性・速乾性のすぐれた素材を選んでもらいましょう。紫外線対策などのために⻑袖を着る場合は、薄⼿の⽣地を選ぶなどして熱がこもらないような注意が必要です
また、脇の下や⾸まわり、太ももの内側を冷やすと体温が下がりやすいことを伝え、冷却グッズを持ち歩いたり、急ぐときは冷たいペットボトルを当てたりすることを勧めましょう。扇⼦や団扇、ハンディ扇⾵機なども利⽤を。
それでも汗をたくさんかいてしまったときは、汗によって体重が減少した分を補うようなイメージで⽔分を摂るように指導します。ポイントは、⽔や⻨茶を少しずつ、ゆっくり飲むこと。飲み過ぎを防ぐためには、うがいで⼝をうるおしたり、氷を⼀個舐めたりする⼯夫が有効です。
汗をかきやすい時期は、可能なら毎⽇体重を測って記録し、⽔分摂取の調節に役⽴てると体重の変化を最⼩限におさえることができ、体調の維持につながります。体重がドライウエイトを下回った時にはすみやかに⽔分補給をすることにより、脱⽔によるシャント閉塞のリスクも低下させます。また、汗をかくと⾎圧が下がることがあるため、⾎圧は毎⽇測定・記録することを勧めましょう。