サビーン点滴静注用 Q&A

「Q&A」は、医療関係者の皆様に向けて作成しています。
本内容は、製品の適正使用に関する参考情報であり、すべてのケースに当てはまるものではありません。また、国内で承認された効能効果・用法用量の範囲外の情報を含む場合がありますが、当社として推奨するものではありません。製品のご使用にあたっては、最新の電子添文をご確認ください。
「Q&A」のご利用によって、生じた結果につきましては、責任を負いかねますのでご了承ください。

※許可なく複写、複製、転掲、改変等を行うことはご遠慮ください。

Q1.サビーン点滴静注用の腎機能障害患者への投与に関する注意事項は?

 中等度及び高度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス(CCr):40mL/min未満)に対しては、通常の半量を投与してください。
 腎機能障害患者には、血液毒性の発現に注意して観察することとなっています。
 デクスラゾキサンは大部分が腎排泄されることが知られており、腎機能障害のある患者では、サビーン点滴静注用の排泄率が低下し、全身への曝露時間が延長する可能性があることから、副作用が強くあらわれるおそれがあります。

<参考>
 腎機能の程度が異なる24例の成人男性及び成人女性を対象として、150mg/m2 注)のデクスラゾキサンを一定速度で15分間静脈注入したとき、デクスラゾキサンのCLtotは腎機能低下者で低下し、AUC0-は、腎機能正常者(CCr>80mL/min)と比べて、中等度(CCr:30~50mL/min)及び重度(CCr<30mL/min)の腎機能低下者では、2倍高値を示した(外国人データ)。

注)サビーン点滴静注用の承認されている用法及び用量は、「通常、成人には、デクスラゾキサンとして、1日1回、投与1日目及び2日目は1000mg/m2(体表面積)、3日目は500mg/m2を1~2時間かけて3日間連続で静脈内投与する。なお、血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに投与を開始し、投与2日目及び3日目は投与1日目と同時刻に投与を開始する。また、用量は投与1日目及び2日目は各2000mg、3日目は1000mgを上限とする。中等度及び高度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス:40mL/min未満)では、投与量を通常の半量とする。」です。

参考資料:
電子添文

〔2022年11月改訂〕

Q2.サビーン点滴静注用の肝機能障害患者への投与に関する注意事項は?

 肝機能障害患者への投与は、肝機能障害の副作用がおこることがあるため、注意が必要です。
 副作用としては、AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇が認められています。

参考資料:
電子添文

〔2022年11月改訂〕

Q3.サビーン点滴静注用の副作用について教えてください。

 サビーン点滴静注用の重大な副作用は、骨髄抑制(白血球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少)(頻度不明)があります。
 重篤な血球減少があらわれることがあり、投与後10日以上経過して発現する例が報告されています。また、骨髄抑制に起因する重篤な感染症(頻度不明)、発熱性好中球減少症(頻度不明)があらわれることがあります。
 サビーン点滴静注用は、投与中及び投与終了後に骨髄抑制をおこすことがあるため、定期的に血液検査を行うとともに患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行ってください。
 サビーン点滴静注用の副作用情報については、サビーン点滴静注用情報サイトの「安全性情報・使用成績調査」も、ご覧ください。

参考資料:
電子添文

〔2022年11月作成〕

Q4.サビーン点滴静注用は、血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに投与を開始する必要があるのはなぜですか?

 以下の理由により、「血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに投与を開始する」と、設定されています1)

①ダウノルビシン誘発皮膚潰瘍モデルマウスを用いた、サビーン点滴静注用の投与タイミングの検討において、ダウノルビシン投与3時間後に、投与開始した場合に、潰瘍発現率の低下が認められました。また、ダウノルビシン投与6時間後に、投与開始した場合には、潰瘍発現率に影響は認められませんでしたが、潰瘍面積AUCは、対照群に比べて減少傾向(約34%)を示しました2)

②上記の非臨床試験結果等から、海外で承認取得のために実施された臨床試験において、血管外漏出後6時間以内に、サビーン点滴静注用の投与を開始した結果、有効性・安全性が確認されました2)3)

③国内臨床試験の2例のいずれも、血管外漏出後6時間以内に、サビーン点滴静注用の投与が行なわれ、外科的処置は行われず、安全性も許容可能でした2)3)

なお、サビーン点滴静注用は、海外30カ国以上で承認されており、用法及び用量は確立されていること、国内外の有効性及び安全性プロファイルに違いがないと推測されたことから、海外と同一の用法及び用量となりました。

参考資料:
1)審査報告書
2)インタビューフォーム
3)電子添文

〔2022年11月改訂〕

Q5.サビーン点滴静注用は、乳酸リンゲル液、日局生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈することとなっていますが、一番適切な希釈液はどれですか?

 疼痛等の注射部位反応の発現を考慮して、希釈後溶液のpHが高い乳酸リンゲル液を推奨しています1)
 海外第Ⅱ相臨床試験(TT01)、海外第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(TT02)の結果から、希釈後のpHの違いにより、注射部位局所の副作用(注射部位疼痛、注射部位静脈炎等) の発現割合が異なる可能性が示唆されています2)

参考資料:
1)インタビューフォーム
2)新医薬品の「使用上の注意」の解説

〔2022年11月改訂〕

Q6.サビーン点滴静注用は、調製後150分以内に投与を完了することとなっていますが、なぜですか?

 配合変化試験の結果により、規定した品質を確保できる時間として設定しました。
 乳酸リンゲル液との配合変化試験調製後180分において、類縁物質が規格不適合となったため、これを超えない時間として「150分以内に投与を完了すること」としています1)。調製した溶液は速やかに使用し、残液は廃棄してください2)

参考資料:
1)インタビューフォーム 
2)電子添文

〔2022年11月改訂〕

Q7.サビーン点滴静注用を調製後、残液を次の日に使用してもよいですか?

 サビーン点滴静注用の安定性及び無菌性の維持の観点から、調製した溶液は速やかに使用し、残液は廃棄してください1)
 なお、配合変化試験の結果2)より、「調製後150分以内に投与を完了すること」としています。

参考資料:
1)電子添文
2)インタビューフォーム

〔2022年11月改訂〕

Q8.サビーン点滴静注用の調製は、安全キャビネット内で行う必要がありますか?

 安全キャビネットの使用について、取り決めはありません。
 サビーン点滴静注用の調製時には、薬剤が皮膚・粘膜に付着しないように注意し、接触した場合には、直ちに水でよく洗い流してください1)

<参考>
 英国の添付文書には、「溶解及び希釈は慎重に行い、細胞傷害性の薬剤を適切に扱うことができる標準的な手順を用いること。」と記載があります2)
 デクスラゾキサンは遺伝毒性、がん原性、生殖発生毒性等の毒性を有する1)とされているため、抗がん剤に準じ取り扱うことも、ご考慮ください。

参考資料:
1)電子添文
2)申請資料概要

〔2022年11月改訂〕

Q9.サビーン点滴静注用の投与によって、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の作用は、減弱しますか?

 血管外漏出時に、サビーン点滴静注用を投与した際の、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の抗腫瘍効果に及ぼす影響について、検討した試験はありません。
 しかし、サビーン点滴静注用の作用機序から、抗腫瘍効果を減弱させる可能性が考えられます。

参考資料:
インタビューフォーム

〔2022年11月改訂〕

Q10.サビーン点滴静注用の血中からの消失時間を教えてください。

 デクスラゾキサンは、in vivo で速やかに(数分以内で)加水分解され、1つの環が開環した2種類の中間代謝物になります。中間代謝物Bの濃度は、デクスラゾキサン濃度の8~29%に達し、中間代謝物Cの濃度は同3~5%に達します。その後、これらの代謝物は、再び速やかに(15分で最高濃度に到達後、半減期2.5時間と0.6時間で消失)2つの環が開環したADR-925に変換され、その後、血清中から半減期24時間で消失しました(外国人データ)1)2)

参考資料:
1)電子添文
2)Schroeder PE, et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 52, 167, 2003.
※本論文には、承認外の用法及び用量の情報が含まれますが、サビーン点滴静注用の承認されている用法及び用量は、「通常、成人には、デクスラゾキサンとして、1日1回、投与1日目及び2日目は1000mg/m2(体表面積)、3日目は500mg/m2を1~2時間かけて3日間連続で静脈内投与する。なお血管外漏出後6時間以内に可能な限り速やかに投与を開始し、投与2日目及び3日目は投与1日目と同時刻に投与を開始する。また、用量は投与1日目及び2日目は各2000mg、3日目は1000mgを上限とする。
 中等度及び高度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス:40mL/min未満)では、投与量を通常の半量とする。」です。

〔2022年11月改訂〕

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