■反復投与10)
日本人のアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者(成人)2例に、デクスラゾキサンを1日1回90分かけて3日間連日静脈内投与したときの薬物動態を検討しました。
反復投与時の薬物動態パラメータ
■参考:反復投与(外国人データ)11)
アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出患者(外国人)6例を対象として、投与1日目及び2日目はデクスラゾキサン1000mg/m2を、3日目は500mg/m2を1日1回1~2時間かけて、3日間連日静脈内投与したときの薬物動態を検討しました。
ノンコンパートメントモデルで評価した結果、投与1日目及び2日目における24時間血中濃度-時間曲線下面積はほぼ同様であり、反復投与による蓄積は認められませんでした。
反復投与時の薬物動態パラメータ
■特別な患者集団(腎機能低下症例、 外国人データ)10)
腎機能の程度が異なる24例※の男女を対象に、150mg/m2のデクスラゾキサンを一定速度で15分間静脈内投与したときの薬物動態を検討した結果、全身クリアランスは腎機能低下者で低下し、中等度及び重度の腎機能低下者の無限時間までの血中濃度-時間曲線下面積は腎機能正常者と比べて2倍高値を示しました。
用量調節のシミュレーションにおいて、クレアチニンクリアランスが40mL/min未満の患者では、投与量を50%にすることで、腎機能正常者と同等の曝露(無限時間までの血中濃度-時間曲線下面積)が達成されることが示唆されました。
デクスラゾキサンは体内に分布し、タンパク結合率は2%未満でした。がん性胸水の患者における胸水中の濃度は、血漿中の10~100%と幅がありました。
■代謝物(外国人データ14)
デクスラゾキサンは生体内で2種類の中間代謝物に代謝されはじめ、中間代謝物Bの濃度はデクスラゾキサン濃度の8~29%、中間代謝物Cの濃度はデクスラゾキサン濃度の3〜5%でした。その後、これらの代謝物もADR-925に代謝され(15分で最高濃度に到達後、半減期2.5時間と0.6時間で消失)、血清中から半減期24時間で消失しました。
■代謝経路(in vitro)15)
デクスラゾキサンは加水分解を受け、2種類の中間代謝物を経てADR-925に代謝されると考えられます。
成人では投与量の34~48%が尿中へ排泄され、小児では同60%が尿中へ排泄されました。胆汁中への排泄は1例において検討され、24時間で1%未満であることが示されました。