治療アルゴリズム
MPA、GPAの治療アルゴリズム
- ・MPA、GPAでは、診断、臓器障害・病態の評価ののちに治療が開始されます。
- ・MPA、GPAの治療には「寛解導入治療(病気になって最初の数ヵ月で行う症状を軽減・消失させるための治療)」と「寛解維持治療(症状が軽減・消失したあとに病気が再燃しないために行う治療)」があります。
- ・さらに、薬剤の中止(可能であれば)、再燃した場合の再寛解導入というステージに分けられます。
MPA、GPAの治療アルゴリズム
- *:腎、肺(間質性肺炎・肺胞出血)、神経、頭頸部、皮膚、の単一臓器に病変を認める。他臓器・筋骨格系の症状は伴わない。発熱・倦怠感などの臓器非特異的症状はあってもよい。
- 白矢印():ANCA関連血管炎の診断および評価を示す。
- 実線():ANCA関連血管炎に対する治療が有効であった場合、および薬剤減量が成功した場合を示す。
- 点線():各ステージにおける治療が無効、効果不十分、あるいは副作用により治療継続困難となり、再寛解導入治療が必要となる場合、または薬剤減量途中や中止後にANCA関連血管炎が再燃し再寛解導入治療が必要となる場合を示す。
難治性腎障害に関する調査研究班 成田一衛、びまん性肺疾患に関する調査研究班 須田隆文:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023 pxi, 2023
MPA/GPA CQ1の推奨まとめ
CQ1 | MPA/GPAの寛解導入治療では、どのようなレジメンが有用か? |
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推奨 | 推奨の強さ | エビデンスの確実性 | サブCQ | |
① | MPA/GPAの寛解導入治療では、グルココルチコイド単独よりも、グルココルチコイド+静注シクロホスファミドパルスまたは経口シクロホスファミドを提案する。 | 弱い | 非常に低 | CQ1-1 |
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MPA/GPAの寛解導入治療では、グルココルチコイド+経口シクロホスファミドよりも、グルココルチコイド+静注シクロホスファミドパルスを提案する。 | 弱い | 非常に低 | CQ1-2 | |
付記)静注シクロホスファミドパルスの代替として経口シクロホスファミドを用いてもよい。 | ||||
② | MPA/GPAの寛解導入治療では、グルココルチコイド+シクロホスファミドとグルココルチコイド+リツキシマブのいずれも提案する。 | 弱い | 低 | CQ1-3 |
低 | CQ1-4 | |||
③ | MPA/GPAの寛解導入治療では、重症臓器病変がなく腎機能障害が軽微で、シクロホスファミド、リツキシマブともに使用できない場合は、グルココルチコイド+メトトレキサート*を提案する。 | 弱い | 非常に低 | CQ1-5 |
④ | MPA/GPAの寛解導入治療では、重症臓器病変がある、または腎機能障害が軽微でなく、シクロホスファミド、リツキシマブともに使用できない場合は、グルココルチコイド+ミコフェノール酸モフェチル*を提案する。 | 弱い | 非常に低 | CQ1-6 |
⑤ | MPA/GPAの寛解導入治療では、グルココルチコイド+シクロホスファミドまたはリツキシマブを用いる場合、グルココルチコイドの通常レジメンよりも、減量レジメンを提案する。 | 弱い | 中 | CQ1-7 |
⑥ | MPA/GPAの寛解導入治療でシクロホスファミドまたはリツキシマブを用いる場合、高用量グルココルチコイドよりもアバコパンの併用を提案する。 | 弱い | 高 | CQ1-8 |
- *:保険適用外
- MPA:顕微鏡的多発血管炎、GPA:多発血管炎性肉芽腫症
- RPGNを含む重症な腎障害は腎臓専門医に相談することが望ましい
- 各薬剤を安全に使用するために、添付文書、Part 2 Ⅶ 治療 参照
難治性腎障害に関する調査研究班 成田一衛、びまん性肺疾患に関する調査研究班 須田隆文:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023 p16, 2023