KISSEI

ANCA関連血管炎の治療指針 ~診断~

自覚症状

ANCA関連血管炎の全身症状

血管炎ではしばしば発熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、筋痛、関節痛などの非特異的な全身症状がみられます。
これらの症状は血管炎による臓器障害の症候が出現する数週から数ヵ月にわたり前駆症状として持続する場合があります。

【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p71-72, 2017
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ANCA関連血管炎の臓器障害

  • ・ANCA関連血管炎では腎臓をはじめ多彩な臓器障害をきたしますが、中でも皮膚、末梢神経、眼、耳鼻咽喉、気管・気管支や肺の臓器障害はしばしば症状を呈し、それが受診動機となります。
  • ・顕微鏡的多発血管炎(MPA)では腎症状が最も高頻度であり、呼吸器症状、神経症状が続き、呼吸器症状では間質性肺炎、肺線維症が多いという特徴があります。
  • ・多発血管炎性肉芽腫症(GPA)では耳鼻咽喉症状が最も高頻度であり、呼吸器症状、腎症状が続き、またMPAや好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に比べて粘膜・眼症状が多いという特徴があります。
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p71-72, 2017

ANCA関連血管炎の臓器障害

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主なものを太字で記載。(MPA)、(GPA)、(EGPA)は、各疾患で当該臓器障害の頻度が比較的高いことを示す。
臓器 病態
頭蓋内 脳梗塞、脳出血、肥厚性硬膜炎(合併する絞扼性脳神経障害)、脳神経炎、静脈洞炎・血栓症
上強膜炎、強膜炎、角膜炎、眼窩病変(眼窩腫瘤、眼窩尖端症候群)(GPA)、虚血性視神経症、網膜血管炎、涙腺炎(GPA)
中耳炎、乳突蜂巣炎、外耳道炎(GPA)、内耳炎(MPA)、顔面神経麻痺(GPA)
鼻・副鼻腔 鼻・副鼻腔炎(骨・軟骨破壊所見ありはGPA)、鞍鼻や鼻中隔穿孔(GPA)
口腔内・舌・咽頭 口腔内粘膜潰瘍、苺状歯肉炎(GPA)
気管・気管支 気管支喘息(EGPA)、声門下・気管狭窄(GPA)
間質性肺炎(MPA)、好酸球性肺炎・移動性浸潤影(EGPA)、結節性・腫瘤性・空洞性病変(GPA)、固定浸潤影(GPA)、びまん性肺胞出血(MPA、GPA)
心臓(EGPA) 心筋炎、不整脈、冠動脈炎
漿膜 胸膜炎、心膜炎
消化管 潰瘍、出血
肝・胆・膵 肝機能障害、胆嚢炎、膵炎、門脈血栓症
副腎 副腎梗塞・出血
腎臓 糸球体腎炎(MPA、GPA)、尿細管間質性腎炎(GPA、EGPA)
尿管・膀胱・前立腺 尿管狭窄(GPA)、前立腺炎(GPA)
生殖器系 精巣炎(GPA)、卵巣炎(GPA)、卵管炎(GPA)
筋肉・関節 筋内血管炎・関節痛
末梢神経 多発単神経炎、単神経炎
皮膚 皮膚血管炎、網状皮斑、皮下結節、皮膚潰瘍、壊疽
血液 好酸球増多症(EGPA)
【参考】厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性血管炎に関する調査研究班 有村義宏、
難治性腎疾患に関する調査研究班 丸山彰一、びまん性肺疾患に関する調査研究班 本間 栄:
診断と治療社 ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017 p71, 2017

ANCA関連血管炎の臓器障害の頻度

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対象・方法:厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班で行われた2006~2008年度の臨床個人調査票解析及び2009年度に実施されたアレルギー性肉芽腫性血管炎の疫学調査をもとに日本におけるANCA関連血管炎の臓器障害の頻度を検討した。

佐田憲映:医学のあゆみ 236:761, 2011

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