ウテメリン注 Q&A
「Q&A」は、医療関係者の皆様に向けて作成しています。
本内容は、製品の適正使用に関する参考情報であり、すべてのケースに当てはまるものではありません。また、国内で承認された効能効果・用法用量の範囲外の情報を含む場合がありますが、当社として推奨するものではありません。製品のご使用にあたっては、最新の電子添文をご確認ください。
「Q&A」のご利用によって、生じた結果につきましては、責任を負いかねますのでご了承ください。
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Q1.ウテメリン注の投与対象を教えてください。
ウテメリン注の投与対象は、妊娠16週以降、37週未満の入院治療など緊急を要する切迫流・早産患者です。
ただし、ウテメリン注は、妊娠16週以降35週以下、又は推定胎児体重2500g未満の切迫流・早産に使用することが望ましい薬剤です。
なお、妊娠16週未満の妊婦に関する安全性及び有効性は確立していないため(使用経験が少ない)、投与は禁忌です。参考資料:
電子添文
〔2025年3月改訂〕-
Q2.妊娠16週未満の妊婦が、禁忌に設定された理由を教えてください。
ウテメリン注の臨床適用は切迫流・早産ですが、妊娠16週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立していないためです。
臨床試験において妊娠16週未満の症例数は少なく、また、発売当時、諸外国では16週あるいは20週以降の切迫流産に使用されていたことを考慮し、妊娠16週未満の妊婦は禁忌に設定しました。<参考>
ウテメリン注の切迫流産の臨床試験は、妊娠12週以後、24週未満の妊婦を対象に行っています注)。
注)ウテメリン注は、「妊娠16週未満の妊婦」には投与禁忌です。参考資料:
電子添文
インタビューフォーム
〔2025年3月改訂〕-
Q3.ウテメリン注の糖尿病合併患者への投与に関する注意事項を教えてください。
ウテメリン注は、リトドリン塩酸塩のβ2受容体刺激作用により、過度の血糖上昇が起こるおそれや、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもあるため、重篤な糖尿病の患者は、禁忌です。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると母体と胎児の生命を脅かすことがあります。
また、糖尿病の患者(重篤な糖尿病の患者を除く)、糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者も同様に、注意が必要です。
ウテメリン注の投与前から口渇、多飲、多尿、頻尿等の糖尿病症状の有無や血糖値、尿糖、尿ケトン体等の観察を十分に行い、投与開始後に異常が認められた場合には、直ちにウテメリン注の投与を中止するなど、適切な処置を行ってください。参考資料:
電子添文
インタビューフォーム
〔2025年3月改訂〕-
Q4.ウテメリン注を投与中止する際の目安を教えてください。
子宮収縮の抑制後は、症状を観察しながら漸次減量し、毎分50μg以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には、投与を中止してください。
参考資料:
電子添文
〔2025年3月改訂〕-
Q5.ウテメリン注は電解質溶液で希釈して投与してもよいですか?
電解質溶液の使用は、肺水腫防止のため避けてください。
ウテメリン注は、5%ブドウ糖注射液または10%マルトース注射液で希釈してください。参考資料:
電子添文
〔2025年3月改訂〕-
Q6.ウテメリン注と併用注意の薬剤を教えてください。
以下の薬剤との併用に注意してください。
参考資料:
電子添文
〔2025年3月作成〕-
Q7.ウテメリン注の副作用を教えてください。
ウテメリン注の重大な副作用は、肺水腫、心不全、汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、ショック、不整脈、肝機能障害、黄疸、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、横紋筋融解症、血清カリウム値の低下、胸水、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、腸閉塞、新生児腸閉塞、胎児及び新生児における心不全、可逆的な新生児心室中隔壁の肥大、新生児低血糖、新生児高カリウム血症(いずれも頻度不明)です。
また、その他の副作用は、以下のとおりです。
これらの副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
ウテメリン注の臨床試験で認められた副作用は、以下のとおりです。
〇<切迫早産>国内第Ⅲ相二重盲検比較試験
切迫早産入院患者138例(ウテメリン注群69例、イソクスプリン塩酸塩群69例)を対象とし、ウテメリン注を50μg/分で投与開始後、患者の状態に応じて投与量を適宜調節しました。投与期間は、原則5日間としました。副作用発現割合は、ウテメリン注群で24.6%(17/69例)、主な副作用は、心悸亢進でした。
〇<切迫流産>国内二重盲検比較試験
切迫流産入院患者161例(ウテメリン注群82例、イソクスプリン塩酸塩群79例)を対象とし、ウテメリン注を50μg/分から上限200μg/分の漸増法を用いた点滴静注により投与時間を8時間で行いました。副作用発現割合は、ウテメリン注群で29.3%(24/82例)、主な副作用は、心悸亢進でした。参考資料:
電子添文
〔2025年3月作成〕-
Q8.ウテメリン注の重大な副作用「肺水腫」について教えてください。
ウテメリン注の重大な副作用として肺水腫があらわれることがあります。
急性心不全の合併に至った例もあるので、呼吸困難、胸部圧迫感、咳嗽、頻脈、低酸素血症等に十分注意してください。<発現機序>
明確な発現機序は分かっていませんが、レニン-アンジオテンシン系賦活による水分およびナトリウムの貯留、心拍数上昇によるFilling time減少に伴う心拍出量の低下、肺毛細血管の障害に伴う血管透過性の亢進などが推定されています1)。<予防方法>
肺水腫は、心疾患、妊娠高血圧症候群の合併、多胎妊娠、副腎皮質ホルモン剤併用時等に発生しやすいとの報告があるので、これらの患者には、水分の過負荷を避け、十分な観察を行ってください。水分の過負荷を避けるには、薬剤濃度を上げて注入液量を減らすことが効果的です。シリンジポンプを使用することにより、薬剤濃度を3mg/mL(全50mL中リトドリン塩酸塩150mg)まで上げることができます。この場合、注入速度1mL/hrで毎分50μgの初期注入薬量が得られ、水分の負荷は通常用法(液量500mL中リトドリン塩酸塩50mg)の1/30となります。
なお、電解質溶液の使用は、肺水腫防止のため避けてください。参考資料:
電子添文
1) 折田剛志:産婦人科の実際,64(1),119-123,2015.
〔2025年3月改訂〕-
Q9.ウテメリン注の副作用「血管痛、静脈炎」の対処方法を教えてください。
ウテメリン注による血管痛、静脈炎に特有の対処方法は検討しておらず、確立されていません。
〔2025年3月改訂〕-
Q10.ウテメリン注の製剤の安定性を教えてください。
ウテメリン注の安定性は、以下のとおりです。
ウテメリン注の苛酷試験および長期保存試験結果
参考資料:
インタビューフォーム
〔2025年3月作成〕-
Q11.ウテメリン注の配合変化試験のデータを教えてください。
インタビューフォーム XII.参考資料 に掲載しております。
以下のリンクから、ご参照ください。参考資料:
インタビューフォーム
〔2025年3月改訂〕