ウテメリン注 Q&A
「Q&A」は、医療関係者の皆様に向けて作成しています。
本内容は、製品の適正使用に関する参考情報であり、すべてのケースに当てはまるものではありません。また、国内で承認された効能効果・用法用量の範囲外の情報を含む場合がありますが、当社として推奨するものではありません。製品のご使用にあたっては、最新の電子添文をご確認ください。
「Q&A」のご利用によって、生じた結果につきましては、責任を負いかねますのでご了承ください。
※許可なく複写、複製、転掲、改変等を行うことはご遠慮ください。
-
Q1.ウテメリン注は、妊娠何週から使用可能ですか?
妊娠16週以降、37週未満の緊急に治療を必要とする切迫流・早産の患者に使用可能です。
なお、妊娠16週未満の患者に関する安全性及び有効性は確立していないため(使用経験が少ない)、投与は禁忌です。
また、ウテメリン注は、妊娠35週以下、又は推定胎児体重2500g未満の切迫流・早産に使用することが望ましい薬剤です。参考資料:
電子添文
〔2022年12月改訂〕-
Q2.妊娠16週未満の患者が禁忌に設定された理由を教えて下さい。
ウテメリン注の切迫流産の試験は、妊娠12週以降24週未満の妊婦を対象に行っています1)。
しかし、妊娠16週未満の症例が少ないこと、また、発売当時、諸外国では16週あるいは20週以降の切迫流産に使用されていたことを考慮し、妊娠16週未満は禁忌に設定しました2)。参考資料:
1) 坂元正一ほか:産科と婦人科, 58(11),2263-2284,1991.(承認時評価資料)
※ 本論文においては、妊娠12週以後の妊婦にも投与されていますが、
ウテメリン注は妊娠16週未満の妊婦には、安全性及び有効性が確立されていないため、投与禁忌です。
2)電子添文
〔2022年12月改訂〕-
Q3.糖尿病合併患者にウテメリン注を投与する際、気を付ける点はありますか?
ウテメリン注は、β2受容体刺激作用により肝臓でのグリコーゲンの分解を促進し、血糖上昇を起こすことがあるため、重篤な糖尿病の患者は、禁忌です。また、糖尿病の患者(重篤な糖尿病の患者を除く)、糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者は、ウテメリン注の投与中に過度の血糖上昇や、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもあるため、注意が必要です。
ウテメリン注の投与前から口渇、多飲、多尿、頻尿等の糖尿病症状の有無や血糖値、尿糖、尿ケトン体等の観察を十分に行い、投与開始後に異常が認められた場合には、直ちにウテメリン注の投与を中止し、適切な処置を行うようお願いいたします。
参考資料:
電子添文
〔2022年12月改訂〕-
Q4.ウテメリン注を電解質溶液で希釈して投与しても良いですか?
電解質溶液の使用は、肺水腫防止のため避けるようお願いいたします。
ウテメリン注の希釈溶液は、5%ブドウ糖注射液または10%マルトース注射液をご使用ください。参考資料:
電子添文
〔2022年12月改訂〕-
Q5.ウテメリン注を投与中止する際の目安を教えてください。
子宮収縮の抑制後は、症状を観察しながら漸次減量し、毎分50μg以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には、投与を中止してください。
参考資料:
電子添文
〔2022年12月改訂〕-
Q6.ウテメリン注による肺水腫発現症例の背景は?
ウテメリン注による肺水腫は、心疾患や妊娠高血圧症候群の合併、多胎妊娠、副腎皮質ホルモン剤併用時等に発生しやすいとの報告があります1)。
また、輸液過剰により発現頻度が高くなることも報告されています2)。参考資料:
1)電子添文
2)重篤副作用疾患別対応マニュアル 肺水腫,令和4年2月改定 厚生労働省
〔2022年12月改訂〕-
Q7.ウテメリン注による肺水腫の発現機序は?
明確な発現機序は分かっていませんが、レニン-アンジオテンシン系賦活による水分およびナトリウムの貯留、心拍数上昇によるFilling time減少に伴う心拍出量の低下、肺毛細血管の障害に伴う血管透過性の亢進などが推定されています1)。
参考資料:
1)折田剛志:産婦人科の実際,64(1), 119-123,2015
〔2022年12月改訂〕-
Q8.ウテメリン注による肺水腫を予防するために、気を付ける点はありますか?
電解質溶液の使用は、肺水腫防止のため避けるようお願いいたします。
また、肺水腫は心疾患、妊娠高血圧症候群の合併、多胎妊娠、副腎皮質ホルモン剤併用時等に発生しやすいとの報告がありますので、このような患者には、水分の過負荷を避け、十分な観察を行ってください。
水分の過負荷を避けるには、薬剤濃度を上げて注入液量を減らすことが効果的です。
シリンジポンプを使用することにより、薬剤濃度を3mg/mL(全50mL中リトドリン塩酸塩 150㎎)まで上げることができます。
この場合、注入速度1mL/hrで毎分50μgの初期注入薬量が得られ、水分の負荷は通常用法(液量500mL中 リトドリン塩酸塩50㎎)の1/30となります。参考資料:
電子添文
〔2022年12月改訂〕-
Q9.ウテメリン注による血管痛・静脈炎の予防法・対処法は?
ウテメリン注による血管痛・静脈炎に特有の予防法・対処法は検討しておらず、確立されていません。
〔2022年12月改訂〕-
Q10.ウテメリン注の配合変化試験のデータは?
インタビューフォーム Ⅻ.参考資料 に掲載しております。
以下のリンクから、ご参照ください。参考資料:
インタビューフォーム
〔2022年12月改訂〕