サラジェン顆粒0.5% Q&A

「Q&A」は、医療関係者の皆様に向けて作成しています。
本内容は、製品の適正使用に関する参考情報であり、すべてのケースに当てはまるものではありません。また、国内で承認された効能効果・用法用量の範囲外の情報を含む場合がありますが、当社として推奨するものではありません。製品のご使用にあたっては、最新の電子添文をご確認ください。
「Q&A」のご利用によって、生じた結果につきましては、責任を負いかねますのでご了承ください。

※許可なく複写、複製、転掲、改変等を行うことはご遠慮ください。

Q1.サラジェン顆粒の『用法及び用量に関連する注意』に「本剤の投与は空腹時を避け、食後30分以内とすること。」と、記載されている理由を教えてください。

 サラジェン顆粒で検討したデータはありませんが、ピロカルピン塩酸塩錠で空腹時反復投与注)を行った第Ⅰ相臨床試験では、本剤の薬理作用に起因する副作用(悪寒、下腹部痛、排尿時痛、残尿感)が発現した1)ことから、本剤の空腹時投与による副作用発現をできる限り回避するための適正な使用の情報として、「本剤の投与は空腹時を避け、食後30 分以内とする」ことを用法及び用量に関連する注意事項として記載しました2)
 なお、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータにおいて、食事摂取による大きな影響は認められておりません3)

注)サラジェン顆粒の承認されている用法及び用量は、「通常、成人にはピロカルピン塩酸塩として1 回5mgを1 日3 回、食後に経口投与する。」です。
 サラジェン顆粒の主な副作用(5%以上)は、頭痛、下痢、嘔気、鼻炎、頻尿、多汗、ほてり、トリグリセリド上昇が認められています。詳細は電子添文をご確認ください。

参考資料:
1)承認申請資料
2)インタビューフォーム
3)電子添文

〔2023年10月改訂〕

Q2.重篤な虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者が、禁忌に設定された理由を教えてください。

 ピロカルピン塩酸塩は、ムスカリンM3受容体に作用することが確認されています。ムスカリンM3作動薬は、血管内皮が正常な場合には血管を拡張させることが知られていますが、心筋梗塞(急性心筋梗塞、陳旧性心筋梗塞)、狭心症(不安定狭心症、安定狭心症)等の重篤な虚血性心疾患のある患者に投与すると、血管内皮障害に伴う冠血管の攣縮を引き起こし、結果的に血管狭窄が増強され、それらの病態を悪化させるおそれがあるためです。

参考資料:
電子添文
インタビューフォーム 

〔2023年10月改訂〕

Q3.気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患の患者が、禁忌に設定された理由を教えてください。

 気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患のある患者に、コリン作動薬を投与すると、気管支平滑筋の緊張によって気道抵抗が増大し、気管支粘液の分泌が亢進し、症状が悪化するおそれがあるためです。

参考資料:
電子添文
インタビューフォーム

〔2023年10月改訂〕

Q4.消化管及び膀胱頸部に閉塞のある患者が、禁忌に設定された理由を教えてください。

 消化管及び膀胱頸部に閉塞のある患者に、コリン作動薬を投与すると、消化管又は膀胱筋が収縮又は緊張し、消化管の通過障害又は排尿障害が発症するおそれがあるためです。

参考資料:
電子添文
インタビューフォーム

〔2023年10月改訂〕

Q5.てんかんのある患者が、禁忌に設定された理由を教えてください。

 てんかんは、脳内神経の過剰な興奮を原因とします。
 てんかんのある患者に、コリン作動薬を投与することにより、コリン作動性神経の異常な興奮を引き起こし、てんかん発作を誘発するおそれがあるためです。

参考資料:
電子添文
インタビューフォーム

〔2023年10月改訂〕

Q6.パーキンソニズム又はパーキンソン病の患者が、禁忌に設定された理由を教えてください。

 パーキンソニズム、パーキンソン病は、黒質-線条体系に存在するドパミン作動神経系と、アセチルコリン作動神経系とのバランスが崩れ、ドパミン作動系の機能低下により、相対的にアセチルコリン作動系優位となることにより、発症すると考えられています。したがって、これらの患者に、コリン作動薬を投与すると、症状を悪化させるおそれがあるためです。

参考資料:
電子添文
インタビューフォーム

〔2023年10月改訂〕

Q7.虹彩炎の患者が、禁忌に設定された理由を教えてください。

 虹彩炎のある患者に、コリン作動薬を投与することにより、瞳孔括約筋に作用し、縮瞳を起こし、虹彩炎の症状を悪化させるおそれがあることから、米国の添付文書を参考に「虹彩炎の患者」を、投与禁忌と設定しました。

参考資料:
電子添文
インタビューフォーム

〔2023年10月改訂〕

Q8.サラジェン顆粒の腎機能障害患者への投与に関する注意事項を教えてください。

 腎機能障害患者に対し、電子添文『9.特定の背景を有する患者に関する注意』の項にて、注意喚起はしていません。

 サラジェン顆粒で検討したデータはありませんが、血液透析を受けていない成人腎機能低下者8例にピロカルピン塩酸塩錠5mgを単回経口投与したとき注)、クレアチニンクリアランスと各薬物動態パラメータとの間に有意な相関は認められませんでした(外国人データ)。

注)サラジェン顆粒の承認されている用法及び用量は、「通常、成人にはピロカルピン塩酸塩として1回5mgを1日3 回、食後に経口投与する。」です。

参考資料:
電子添文

〔2023年10月改訂〕

Q9.サラジェン顆粒の肝機能障害患者への投与に関する注意事項を教えてください。

 中等度又は高度の肝機能低下患者は、高い血中濃度が持続し、副作用の発現率が高まるおそれがあります。

 サラジェン顆粒で検討したデータはありませんが、成人肝機能正常者6例及び肝機能低下者12例(Child-Pugh分類A:9例、B:3例)にピロカルピン塩酸塩錠5mgを単回経口投与したとき注)、 正常者に比べ肝機能低下者のCmax、AUC0-infは増加し、経口クリアランス(CLtot/F)は低下しました(外国人データ)。

成人肝機能正常者及び肝機能低下者における空腹時投与の薬物動態パラメータ

注)サラジェン顆粒の承認されている用法及び用量は、「通常、成人にはピロカルピン塩酸塩として1回5mgを1日3回、食後に経口投与する。」です。

参考資料:
電子添文

〔2023年10月改訂〕

Q10.サラジェン顆粒の副作用「多汗」の発現機序を教えてください。

 汗腺は、交感神経支配ですが、例外的にコリン作動性であるため1)、ピロカルピン塩酸塩のムスカリン(M3)受容体刺激により、発汗が促進され、多汗を引き起こすと考えられます。

参考資料:
1)「医学大辞典(第2版) 2009」(医学書院)

〔2023年10月改訂〕

Q11.サラジェン顆粒と、サラジェン錠とで有効性や安全性に違いはありますか?

 生物学的同等性試験の結果、サラジェン顆粒0.5%とサラジェン錠は、生物学的同等性が確認されているため、有効性や安全性は同等であると考えられます。

 健康成人男性にサラジェン顆粒0.5%又はピロカルピン塩酸塩錠5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1g又は1錠(ピロカルピン塩酸塩として5mg)を空腹時に経口投与注)して血漿中未変化体濃度 を測定しました。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について 90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)~log(1.25) の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認されました。

注)サラジェン錠・サラジェン顆粒の承認されている用法及び用量は、「通常、成人にはピロカルピン塩酸塩として1回5mgを1日3 回、食後に経口投与する。」です。

参考資料:
電子添文

〔2023年10月改訂〕

Q12.サラジェン顆粒の崩壊・懸濁性及び経管チューブの通過性に関する情報を教えてください。

本内容には承認を受けていない品質に関する情報が含まれています。試験方法等が確立していない内容も含まれており、あくまでも記載されている試験方法で得られた結果を事実として提示しています。医療従事者が臨床適用を検討する上での参考情報であり、加工等の可否を示すものではありません。

 インタビューフォーム XIII.備考「1.調剤・服薬支援に際して臨床判断を行うにあたっての参考情報」に掲載しております。
 以下のリンクから、ご参照ください。

  ■崩壊・懸濁性及び経管チューブの通過性■

注:サラジェン顆粒の承認されている用法及び用量は、「通常、成人にはピロカルピン塩酸塩として1回5mgを1 日3回、食後に経口投与する。」です。懸濁して投与する方法は、サラジェン顆粒の承認された用法及び用量ではありません。また、サラジェン顆粒を懸濁した製品での臨床試験、薬物動態、安定性、有効性及び安全性等のデータはなく、サラジェン顆粒の懸濁投与は推奨しません。

参考資料:
インタビューフォーム

〔2023年10月作成〕

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