2型糖尿病の
血糖コントロール改善に対する
CGMのベネフィット
~海外の最近の動向を含め~

東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科

髙橋 紘

はじめに

糖尿病の治療目標は合併症の発症と進行を予防して,糖尿病のない人と同等な健康寿命を達成し質の高い生活を送れるようにすることである.この目標の実現には高血糖と低血糖を避けて血糖変動幅を適正な範囲に安定させることが必須と考えられる.一方で,糖尿病治療において頻用される検査はHbA1cと血糖値であるが,低血糖や高血糖といった日々の細かな血糖変動を予測することは困難である.

近年では,24時間の血糖変動の可視化を可能とした持続血糖モニター(continuous glucose monitoring:CGM)が簡便に使用できるようになったため,日々の細かな血糖値の推移を把握することが可能となった.これらは,HbA1cと血糖値のみで治療していた糖尿病治療に,大きなパラダイムシフトをもたらそうとしている.実際に米国糖尿病学会(American Diabetes Association:ADA )や欧州糖尿病学会(European Association for the Study of Diabetes:EASD)はコンセンサスレポートを発表し,血糖値をコントロールするうえでHbA1cの限界を認識する必要性や,「Beyond A1c」を解決する強力なツールとしてCGMの重要性を説いている1)

CGMには自己管理用のCGMとして,real-time CGM (rtCGM)およびintermittently scanned CGM(isCGM)の2種類がある.とくに2022年4月からは保険改訂にて,isCGMのフリースタイルリブレに関する間歇スキャン式持続血糖測定器加算の対象者が,1日1回以上インスリン自己注射を使用しているものに拡大され,今後2型糖尿病患者においてもCGMを使用した血糖コントロールがおこないやすくなる可能性がある.そのため,本稿では2型糖尿病患者に対するCGMの血糖コントロールへの有用性に関して概説する.

CGMに関する海外・国内の動向

ADAは2021年のコンセンサスレポートにおいて,CGMの使用は頻回インスリン注射(multiple daily injections:MDI)療法または持続皮下インスリン注入療法施行中の患者だけではなく,それ以外のインスリン治療を施行している患者に対しても有効であると追記された2).これは,CGMが特定のインスリン治療だけではなく,HbA1cの低下や低血糖の軽減,さらに血糖自己測定(self monitoring of blood glucose:SMBG)回数の軽減または代替として有用と考えられるためである.また,ADAにおいてCGMの使用を推奨する患者は,これまでは①血糖コントロール目標が達成されていない者,②低血糖症状を自覚できない者,③重症低血糖を経験している者に限定されていたが,2021年の改定より血糖コントロール目標を達成している者でも,血糖コントロールを維持できるよう,より適応を広げることを推奨している.

さらに,米国臨床内分泌学会および米国内分泌学会も同様に,2型糖尿病の包括的管理の一つとして,「患者が安全に目標を達成できるよう,利用可能であればCGMを強く推奨する」と明記した3).これはCGMがSMBGよりも簡便かつ迅速に血糖変動を把握できるため,①血糖コントロール目標を達成するための治療法をより迅速に変更できる,②低血糖のリスクと頻度を減らすことができると言及している.

一方,日本糖尿病学会においてもisCGMであるフリースタイルリブレの使用目的が2019年4月から“SMBGを補助する医療機器”から“必要に応じてSMBGを併用しながら,糖尿病の日常の自己管理に用いる医療機器”へ変更された.そのため,当初isCGMはSMBGの補助としての保険適用であったが,2020年4月より血糖自己測定器加算のなかの新カテゴリーとして間歇スキャン式持続血糖測定器加算が追加された.このカテゴリーの対象は,①MDI療法をおこなっている患者,②MDI療法をおこなった後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用している患者のみに限定されていたが,1ヵ月に1回1,250点の指導料が算定可能となった.さらに,2022年4月の保険改定により,1日1回以上インスリンを自己注射している患者においても間歇スキャン式持続血糖測定器加算の算定が可能となった.そのため,isCGMを常時使用する患者が一気に増加することが予想される.

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