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IBD診療のお悩み解決!
エキスパートに聞く診療のコツ

腸管外合併症の診断と治療のコツ Ⅰ. 炎症性腸疾患の腸管外合併症治療指針(2022年3月改訂)および血栓塞栓症 腸管外合併症の診断と治療のコツ Ⅰ. 炎症性腸疾患の腸管外合併症治療指針(2022年3月改訂)および血栓塞栓症

インタビュイ

杏林大学医学部 消化器内科学 准教授
松浦 稔 先生

潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患(IBD)は小腸や大腸などの下部消化管に慢性炎症を生じる疾患ですが、消化管以外のさまざまな臓器にも病変を生じることが知られています。これらはIBDの腸管外合併症と呼ばれ1)、時にはIBD患者さんのQOLや生命予後にも大きく影響する場合があり注意が必要です。そこで、「令和3年度 炎症性腸疾患の腸管外合併症治療指針」の作成委員総括責任者である杏林大学医学部消化器内科学 准教授 松浦稔先生に、IBDの腸管外合併症について3回にわたりご解説いただきました。今回のパートⅠでは、当指針が作成された背景や経緯、その位置づけについてお話を伺いました。また、IBD腸管外合併症の概要、ならびに代表的な腸管外合併症の一つでもある血栓塞栓症について、診断のポイントや治療の現状と問題点についてもご解説いただきました。

「炎症性腸疾患の腸管外合併症治療指針」が作成された背景・経緯
およびその位置づけ

IBDの腸管外病変を認める臓器としては骨・関節、皮膚、血管、胆管、眼、肺など広範囲にわたり1, 2)(図1)、症状も多彩です。またIBDの腸管外合併症は発生頻度、性差、疾患活動性との相関などそれぞれに異なった特徴があり、その診断はIBD専門医でも容易ではありません。更に、IBDを専門としない一般診療医においてはIBDの腸管外合併症そのものが十分に認知されているとは言い難い状況です。一方、近年、IBDに対する新規治療薬が次々と登場し、IBD患者の腸炎に対する治療は飛躍的に進歩しました。しかしながら、IBDの腸管外合併症については、その認知度の低さゆえにどのように治療したらよいのかが分からない、また治療に難渋する、時には確立された治療法が存在しないなど、様々な問題点が浮かび上がり注目されるようになってきました。そこで、本邦の「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班が毎年公開している「潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針」の中に、令和元年度から新しい項目として「炎症性腸疾患の腸管外合併症治療指針」が加えられました。当指針はIBD専門医のみならず、IBDを専門としない一般診療医や実地医家の先生方にもIBDの腸管外合併症について広く周知し、啓蒙することを目的に、文献的エビデンスや日本におけるIBD診療の現状をもとに、IBDならびに各領域の専門家の先生方からのご意見をいただきながら作成されました。

図1
Reprinted from Gastroenterology, 161, Rogler G, et al, Extraintestinal Manifestations of Inflammatory Bowel Disease: Current Concepts, Treatment, and Implications for Disease Management, 1118-32, 2021, with permission from Elsevier on behalf of the AGA Institute.

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