kissei

Basic Knowledge

「診療現場でよく耳にする言葉,きちんと説明するとなると,知っているようでよくわからない,
似ているようで違いがわからない」と思ったことはありませんか。本コラムでは,糖尿病診療の
現場で使われている用語とその考え方,最新の話題についてクイズ形式でご紹介します。

今回のテーマは,医療ビッグデータです。

医療ビッグデータ

Q日本の医療ビッグデータに関する記述で正しいものを選んでください(正解はひとつとはかぎりません)

  • 今後,医療ビッグデータ法が施行される予定である。
  • 電子カルテの情報を用いた糖尿病データベースの構築が進行している。
  • 日本全国の高血圧患者,糖尿病患者の実数値が明らかにされている。
  • DPC(診断群分類包括評価)のデータを学術研究に活用できる。

A 答え:2),4)

~他の選択肢~

  • 医療ビッグデータ法は,すでに2017年5月12日に公布され,2018年5月11日に施行されています。「次世代医療基盤法」とも呼ばれ,正式名称は「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」です。
  • 高血圧患者の実数値は2022年6月に初めて明らかにされましたが,糖尿病患者の実数値はまだ示されていません。高血圧患者は,これまで2010年国民健康・栄養調査データから約4,300万人と推定されていましたが,日本高血圧学会は,2014年の国民のレセプト情報・特定健診等情報データベース(National Database)の解析により,高血圧性疾患の受療者数は2,700万9,064人,治療薬処方患者数は2,420万6,492人と発表しました。約4,300万人と2,700万9,064人の違いは,高血圧に罹患しながらも未受療の患者が多いことを示唆しています。

解説

電子カルテ情報を用いた糖尿病データベースの構築

 医療ビッグデータを用いた大規模な糖尿病研究が進んでいますが,電子カルテ情報を用いた糖尿病データベースとして,診療録直結型全国糖尿病データベース事業のJ-DREAMSが知られています。2015年より国立国際医療研究センターと日本糖尿病学会が共同して,糖尿病の大規模データベース構築を目指す研究です。電子カルテに糖尿病標準診療テンプレートと呼ばれる入力画面を導入し,そこに入力された電子データが,個人情報を匿名化されたうえでデータベースに蓄積されます。大規模なデータベースの構築により,糖尿病患者における合併症のリスク因子の同定や効率的な研究の実施につながることが期待されています。

 現在,日本肥満学会も,J-DREAMS事業のシステムを活用した電子診療録直結型肥満症データベース研究のJ-ORBITを推進しています。

J-DREAMS:Japan Diabetes compREhensive database project based on an Advanced electronic Medical record System,
J-ORBIT:Japan Obesity Research Based on electronIc healTh record

DPCデータの学術研究への活用

 平成29(2017)年度より,厚生労働省が保有するDPCデータのデータベースシステムが運用され,公益性の高い学術研究に対する情報提供が「DPCの提供に関するガイドライン」に基づいて開始されました。令和2(2020)年10月の改正健康保険法の一部施行により,現在は「匿名診療等関連情報の提供に関するガイドライン」に基づいて情報提供されています。

 DPCデータと匿名医療レセプト情報・匿名要介護認定情報を個人単位でも連結できることから,介護を含めた長期にわたる分析に用いることもできるようになっています。

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