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薬剤師のためのお役立ちcolumn

『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』をチーム医療への実践的アプローチに活かす

高齢者における安全な薬物療法の重要性がますます高まる中、
『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』が10年ぶりに改訂されました。
チーム医療に活かすことで高齢者の薬物療法の質向上につながります。

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監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]

高齢者薬物療法の問題点と薬剤師の役割

高齢者薬物療法の問題点としてポリファーマシーによる服薬アドヒアランスの低下や薬物有害事象の増加があります。ポリファーマシーが形成される主たる原因として多病による複数医療機関の受診があり、これを解消するためには薬剤情報を管理する薬剤師が中心となって医療機関と連携することが必要不可欠です。
 また、多職種チームへの薬剤師の参画も重要です。『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025』においても、“認知症患者に対して多職種で関与することで薬物関連の再入院回数が減少し、医療費削減につながり有効”であること等が示されており、多職種チームへの薬剤師の参画が推奨されています。

ガイドラインは科学的根拠の宝庫

薬剤師が処方医に患者情報をフィードバックする手段としてトレーシングレポートがあります。現在の服薬に関する問題点を発見し、トレーシングレポートを用いて適切な薬剤変更を提案することで、治療効果の改善や患者満足度の向上が期待できます。
 提案に関するレポートを出す際には、科学的根拠やエビデンスを記載し、処方医の納得性を高めるものでなくてはなりません。『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025』はまさに科学的根拠の宝庫の一つです。10年ぶりに改訂された本ガイドラインは、関連ガイドライン等のアップデートが反映され、厚生労働省高齢者医薬品適正使用検討会による「高齢者の医薬品適正使用の指針について」等からも必要な評価を取り込んでいます。このガイドラインを活用することで、エビデンスに基づいたより高精度のトレーシングレポートの作成が可能となります。
 また、その他の場面での多職種連携においても科学的な裏付けが求められることは多いですが、そのハードルもクリアしやすくなります。

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薬物有害事象や過少医療を回避するために

本ガイドラインには、「特に慎重な投与を要する薬物」「開始を考慮するべき薬物」のリストと、その使用フローチャートが掲載されています。前者の目的は、薬物有害事象の回避と服薬数の減少に伴うアドヒアランスの改善。一方、後者は高齢者に対する過少医療の回避を目的としています。
 これらのリストは、薬物有害事象の疑いがある場合や、薬物有害事象の予防や服薬管理のために処方薬を整理したい場合、新規処方を検討している場合に有用です。
 高齢者の安全な薬物療法を実現させるためには、医療チームのメンバーが積極的に情報共有を図り、それぞれの立場から最適な提案を行っていくことが求められます。
 リストおよび本ガイドラインは、実地医家や薬剤師向けに作成されており、高齢者に対してより安全で効果的な薬物療法を提供するために、私たち薬局薬剤師が積極的に活用していくことが望ましいと考えられます。

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高齢者の安全な薬物療法
ガイドライン2025より作図

参考
  • 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025(日本老年医学会 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン作成委員会),メジカルビュー社,2025年

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