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生活習慣病患者さんの多くは生涯にわたる服薬、自己管理が必要です。
それを支援するためには情報提供だけではなく一緒に考えることが大切。
共同意思決定(SDM)に基づく働きかけについて考えます。

監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]
「患者が、医療における意思決定の分岐点で、利用可能なすべての治療の選択肢を見渡し、専門家とのやり取りを通して意思決定を行うプロセス」のこと。SDMによって患者参加型医療を実現し、治療効果や患者満足度の高い状態を目指す。
患者さんは、病気のために治療が必要な人である前にひとりの人間です。それぞれ人生で大切にしていることがあり、生活背景や価値観、希望なども異なります。生活習慣病の患者さんに対しては、長い経過の中で病状やライフステージなどが変わり、気持ちも変化していくことを意識する必要があります。
また、生活習慣病の治療薬は選択肢が増えており、どのような治療がその人にとって最善かを考える際には、薬剤の特徴や患者さんの検査データに加え、生活背景なども大切な情報となります。
何よりも、現在は医療者と患者さんが話し合って治療方針を決める「共同意思決定(Shared Decision Making:SDM)」が重視されます。生活習慣病においても、医療者と患者さんが一緒に目標や方針を考え、どうしたら達成できるかを話し合うことが求められます。
薬局薬剤師が治療方針の決定に直接関わることはそれほど多くないと思いますが、患者さんの意思決定を支援することは可能です。
SDMでは、医療者は専門職の視点から意思決定のために必要な情報や選択肢を提供し、患者さん(家族)は自身の生活背景、価値観や希望、人生の目標などを医療者に伝え、話し合うというプロセスが欠かせません。しかし、オープンに話してくれる患者さんばかりではなく、自分の考えなどを言語化して他人に伝えることに慣れていない方もいます。
そもそも、医療者とはいえよく知らない相手にプライベートなことや心の内を明かすことには抵抗があるものです。「この人には話せる」と思ってもらうためには、変化する患者さんの気持ちに寄り添い続け、「私はあなたを支援します」という姿勢を貫き通すことが肝要です。患者さんの言動が揺れ動いても否定せず、まずは「いまはそういうお気持ち(状況)なのですね」と受け止めます。自分の気持ちや考えをきちんと受け止めてもらえたという体験が安心感や満足感を生み、一緒に考える関係をつくる基盤になります。
言葉によるコミュニケーションだけではなく、アイコンタクトや相槌、沈黙があっても相手が言葉を見つけるまで待つといった態度も大切です。
継続的な通院、服薬を必要とする生活習慣病患者さんとは、じっくりと時間をかけて人間関係を築くことができます。服薬についてはもちろんのこと、生活習慣などに関する小さな問題について話してくれたときにも、SDMを意識して対応することによって信頼度が上がり、その積み重ねが大きな選択でのSDMによい影響を与える可能性があります。
科学的根拠という客観だけに重きを置くのではなく、患者さんが今後どのような生活を望んでいるか、その実現にはどのような支援が必要かに着目し、生活習慣における行動変容を促す働きかけをします。例えば、「孫と旅行する」などの目標を共有し、そのための具体的な行動を一緒に考えることが大切です。「相談してよかった」「これなら続けられる」と思ってもらえる選択を支援することが、継続的な服薬、自己管理につながります。
薬局は患者さんが受診行動の最後に訪れる場所です。地域医療の一員として薬局薬剤師が意思決定に関わることで医療の質向上に貢献することができます。

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