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薬剤師のためのお役立ちcolumn

薬剤を正しく服用してもらうための服薬指導

患者さんの誤解や失念を防ぐためにどのようなサポートが必要でしょうか。
適切な説明をしていても患者さんの誤解や失念はたびたび発生します。
事例をもとに、改めてできることを考えます。

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監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]

[事例1]

用法及び用量についての説明が
上手く伝わらなかった事例

概要

以前から薬剤A(1回1包1日3回)を処方されていた患者が、症状が改善しないため薬剤B(1回2包1日3回)へと変更になった。
次の来局が想定していた時期よりも遅かったため、確認したところ、薬剤Bを1回に1包ずつしか服用していなかったことが分かった。

背景・要因

薬剤Bは以前にも処方されたことがあり、服用歴についての共通認識はあったが、2包ずつ飲んでいたことまでは覚えていなかった。
薬剤師は薬剤Aから薬剤Bへと変更になったことと、1回2包服用することを説明しており、患者からも「分かりました」と返事があった。
帰宅後、薬剤が変更されたことは覚えていたものの、1回2包であることは忘れていた。
薬剤Aと薬剤Bは外観も類似していることから、患者は薬剤Bも薬剤Aと同様に1回1包と思い込んでしまった。

[事例2]

薬剤の変更(製造販売業者)についての説明が上手く伝わらなかった事例

概要

●●OD錠「C社」を服用している患者が来局したが、流通が不安定で薬局に在庫がなかったため、●●OD錠「D社」へと変更して調剤した。
帰宅後、今までとは外観が異なる薬剤であったため、誤って交付されたのではないかと不安になり、自己判断で薬剤を服用しなかった。

背景・要因

C社の薬剤は白色、D社の薬剤はピンク色であった。
薬剤師は薬剤の製造販売業者が変更になったことと、外観が変わることを説明していたが、錠剤の色の違いについては深く説明をしていなかった。
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薬局への問い合わせをすることも考えたが、なんとなく行わないことを選択してしまった。
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―事例から考えること―
1説明は丁寧に、視覚的に印象を残す

いずれの事例も、薬剤師は薬剤の変更時における基本的な説明はしています。しかし、薬剤師が「これで理解してくれるだろう」と思う以上に、丁寧な説明が必要な患者さんは少なくないことを念頭に置く必要があります。
 口頭で説明するだけではなく、薬剤を一緒に目で確認してもらったり、薬袋や薬剤情報提供書の中のポイントとなる部分に、マーカーを入れるところを見てもらいながら説明をすることで、理解を深めるとともに印象を残すことができます。
 過去に服用経験がある薬剤であっても大事な説明は省略せず、類似薬からの切り替えでは、違いを特に強調するなどの注意も必要です。

―事例から考えること―
2手書きの補足コメントでサポートする

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患者さんがその場では「分かりました」と返事をしても、帰宅後忘れてしまうことも多いので、患者さんの年齢や理解度に合わせて補足コメントを手書きで書き加えるなどの工夫もします。

例えば、週1回服用の薬剤が1ヶ月分処方された場合であれば図1図1のように服用日を明確にして薬袋に記入します。

抗生剤の処方パターンで、セフェム系薬剤E(1回1錠 1日3回 7日分)服用後、マクロライド系薬剤F(1回1錠 1日2回 7日分)という場合がありますが、薬剤Eの薬袋に「①●/●から」、薬剤Fの薬袋に「②●/●から」と記入します(図2図2)。

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3患者さんが気軽に質問できる関係をつくる

電話などで質問に応じる体制を整え、「分からないこと、疑問に思ったことがあればいつでも気軽に連絡してくださいね」など、患者さんが遠慮しないように、忘れず声かけをします。

参考
  • 薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業 第32回報告書

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