歯を失う主要な原因である歯周病は、子供から大人まで罹患します。
全身の病気とも深く関わっているため、定期的な歯科検診が大切です。
健康寿命の延伸にもつながるオーラルフレイル対策についても考えます。
監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]
歯周病とは、歯の表面にプラーク(歯垢)という細菌の塊が付着し、歯周ポケットから細菌が侵入して起こる病気です。むし歯は歯そのものの病気ですが、歯周病では歯を支えている歯肉や歯槽骨などの歯周組織が壊れ、進行すると歯を失うことにもなります。
歯と歯肉の間には歯肉溝(しにくこう)というミゾがあり、歯肉が健康ならその深さは1〜2mm程度です。歯周病になるとミゾが深くなり、歯周ポケットができます。歯周ポケットの深さが4〜5mmは初期の歯周病、6mm以上は重度の歯周病とされます※。4mm以上の歯周ポケットを有する人は、高齢になるにつれ増加しますが、幅広い年代にみられます。
※歯周病の診断基準は歯周ポケットの深さだけではありません。
歯周病は、細菌が引き起こす炎症性疾患です。病状が悪化し、歯周病菌そのものや細菌がつくる炎症物質が歯肉の血管から体内に入り込むことで、全身にも影響を及ぼします。他疾患の発症や悪化を予防するためにも、患者さんに腫れや出血など、歯周病のサインがあると知った際には、早めに歯科医を受診するよう促すことが大切です。
歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼすことが知られています。歯周病菌が発する毒素は、TNF-αという物質の産生を亢進させてインスリン抵抗性を引き起こし、血糖コントロールを悪化させるといわれています。
歯周病菌が発する毒素や炎症物質は動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるといわれています。血圧、LDLコレステロール、中性脂肪が高めの人、高血圧や脂質異常症を治療中の人は特に注意が必要です。
妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児出産及び早産のリスクが高くなるといわれています。歯周病菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。妊娠中の女性は、生まれてくる赤ちゃんのためにも確実な歯周病予防が大切です。
誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物が気管や肺に入ってしまうことで発症する肺炎です。誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは歯周病菌であるといわれており、嚥下機能が低下している高齢者では、歯周病のコントロールが誤嚥性肺炎予防において重要です。
「オーラルフレイル」は、口腔に関する些細な衰えを放置したり、適切な対応を行わないままにしたりすることで、口腔機能の低下、摂食機能の障害、さらには心身の機能低下にまでつながる、“負の連鎖”に警鐘を鳴らした概念です。日本歯科医師会は、人生100年時代に向け、「8020運動」(80歳になっても20本以上自分の歯を保とう)に「オーラルフレイル」を加えて展開しています。
「かたい物が食べにくくなった」「汁物でむせることがある」などの相談があった際には、いつまでもおいしく食べ、元気でいるために、早めに歯科医を受診するよう促すことが大切です。
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