軽度認知障害の方は全国に558.5万人(2022年)といわれており、
今後も増加していくことが予想されます。
軽度認知障害の患者さんへの適切な支援について考えます。
監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]
認知症は、「日常生活に支障をきたすほど認知機能が低下した状態」ですが、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)は、「健常な状態と認知症の中間のような状態」です。同じ年代の人と比べて認知機能は低下しているものの、基本的には日常生活を正常に送ることができます。
MCIでは、1年で5~15%の方が認知症に移行する一方で、16~41%の方は健常な状態になるといわれています。早期から適切な認知症予防対策を行うことで、健常な状態への回復や、認知症への移行を遅らせることが期待できます。
基本的な心がけとして、患者さんは認知機能の低下に伴う今後の生活の変化について不安を感じていると思われるので、傾聴や共感により、よき相談相手の一人になるように努めます。
認知機能の低下により起こりやすい困りごとを理解し、臨機応変に対応します。例えば、何度も同じことを質問されても快く応える、短期間に同じ商品を何度も買いに来た場合は、「これはおうちにあると思いますよ」などと穏やかな口調で伝え、ご家族が来局されたら何度も買いに来られていることを伝えます。また、支払いに時間がかかる場合は、次に待っている患者さんにも配慮しながらサポートすることで、患者さんは焦らず落ち着いて行動することができます。
患者さんから「最近、もの忘れが増えてきた」というような相談があった場合は、かかりつけ医への相談や、もの忘れ外来・認知症外来への受診を勧めます。ご本人に自覚がなく、気になる症状が認められた場合は、まずご家族にそれとなく伝えます。早期から認知症予防指導を受けられるよう助言することが、患者さんのためになります。
また、高血圧・糖尿病・脂質異常症はMCIから認知症への進行を促進する危険因子です。これらを治療中の患者さんにおける服薬アドヒアランスの向上も、薬剤師の大切な務めです。
適切な機関に「つなぐ」ことは、薬剤師の大切な務めのひとつです。医療機関への受診を勧めることに加えて、個々の患者さんのニーズや状況に合わせて情報提供することが、患者さんやご家族への支援につながります。
お金の管理や家に閉じこもりがちであることなど、生活上の困りごとや悩みがある場合には、地域包括支援センターへの相談を提案します。同じような悩みを持つMCIの方や家族と情報交換ができる場所や、今後受けられる行政サービスについての情報がもらえることをお伝えします。
一人暮らしの患者さんで、薬局がご家族と連絡がとれる関係ではない場合は、患者さんの変化に気がつけるように見守りつつ、不安を感じたら必要に応じて地域包括支援センターや地域の民生委員などに情報提供します。
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