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薬剤師のためのお役立ちcolumn

頻尿に悩む患者さんの水分摂取

過活動膀胱患者さんの悩みの一つである頻尿症状。
水分を過剰摂取している場合には、その是正も必要です。
適切な水分摂取量と患者さん個々に合わせた対応について考えます。

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監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]

KEY POINTS

1日の水分摂取量の目安は、体重の2.0~2.5%(20~25mL/kg)
水分を必要以上に摂取しても血液粘稠度に変化は見られず、夜間排尿回数が増加する
夜間頻尿の予防のために就寝前の水分摂取は控える

頻尿の原因はさまざまありますが、代表的な疾患である過活動膀胱の患者さんのケースを考えてみます。
 過活動膀胱の患者さんは、蓄尿時に膀胱の排尿筋不随意収縮(排尿筋過活動)が起こることにより、昼夜を問わず頻尿となります。治療の基本は行動療法と薬物療法で、行動療法では、膀胱訓練や骨盤底筋訓練などが有効だとされています1)
 一方で、水分の過剰な摂取も頻尿につながります。私たちの体は、体内の水分量が一定に保たれるようにバランスを取っています。水分をたくさん摂取すればするほど排泄される尿量も増えるため、何度もトイレに行くことになります。そのため、適正な水分摂取についての指導も重要な位置づけとなります。

1日の水分摂取量の目安は、体重の2.0~2.5%(20~25mL/kg)だとされています2)。例えば、体重60kgの患者さんなら、1,200~1,500mL程度です。マグカップ(200mL)なら6~7杯、あるいはペットボトル(500mL)だと2.5~3本分です。

患者さんの中には、「血液をサラサラにするため」と過剰に摂取をしているような方がいます。そのような患者さんには、1日2L以上の飲水を1週間続けても早朝の血液粘稠度に変化は見られず、夜間排尿回数が増加したという研究報告3)があることなどを情報提供してもよいかもしれません(「夜間頻尿.com」にて解説動画をご覧いただけます。詳しくはこちら)。「脱水症状を引き起こさないか心配だ」と不安がっている場合には、排尿量を測定することで水分が足りているかどうかが分かるので、泌尿器科の医師へ相談するように勧めます。

反対に、「頻尿を気にして水分摂取を控えている」という患者さんもいます。1日20mL/kg未満の場合には脱水の危険がある2)ので、特に暑い季節には摂らなさすぎも良くないことを伝えます。参考として、環境省が呼び掛けている「熱中症警戒アラート発表時の予防行動」において、水分補給量については1日あたり1.2Lが目安とされています4)

水分摂取は一日を通してこまめに行うことが大切ですが、就寝前に水分を摂りすぎると夜間頻尿につながります。就寝前は避け、起床後に水分を摂るように指導します5)6)

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ほとんどの人にとって、水分摂取は、喉が渇いたら飲みたい量を飲むというように、日常生活において特別な行為ではありません。摂取量を計算している人もいないでしょう。
 しかし、頻尿に悩んでいる患者さんには、水分摂取に対する考えや状況を伺ってみて、もし水分の過剰摂取が頻尿の原因になっている場合には、それを是正していくようアドバイスすることが患者さんの支援につながります。

尿量を増やす薬剤を飲んでいる患者さんでは、薬の効果で排泄した尿量に応じた水分摂取が必要なため注意が必要です。
※ループ利尿薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)、SGLT2阻害薬、トルバプタンなど

解説動画のご案内

夜間頻尿.com
>
日常生活で気をつけること
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解説ショートムービー「THE 夜間頻尿」
>
Vol.2「本当にそんなに必要? 1日の水分摂取量」
へとお進みください。

※Webページは患者さんにもご覧いただけます。
参考

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