身体障害者手帳を持っている視覚障害者の数は、現在約31万2,000人です。
必要とする支援は障害の状態により異なることもありますが基本は同じです。
視覚障害のある患者さんとのコミュニケーションについて考えます。
監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]
視覚障害とは、視力や視野に障害があり、日常生活を送る上で困難さを感じている状態のことです。基本的な知識を持ち、適切な支援の仕方を知っておくことが、良いコミュニケーションにつながります。
これらの他にも、ものが歪んで見える、まぶしさ(羞明感)がある、暗い場所で見えにくい(夜盲)、色の判別がしにくい(色覚異常)など、人によって見え方や見えにくさは異なり、その程度や進み方にも個人差があります。
視覚障害のある患者さんと接する際は、「どのようなお手伝いが必要ですか?」と、その方が求めている支援を具体的に把握し、必要十分な支援を提供することが大切です。
視覚障害のある患者さんの来局に気づいたときは、入り口まで行って迎え、声をかけることが大切です。最初に薬局のスタッフであることを伝え、「お手伝いしましょうか?」「何かお困りですか?」と聞きます。馴染みの患者さんでも声だけで判断することは難しいため、必ず名乗ります。
椅子やカウンターへ誘導するときは患者さんに肘の少し上か肩を持ってもらいますが、突然体に触れると驚かせてしまいます。白杖を持つ手の反対側に立ち、ガイドします。「手の甲に触れますね」と声をかけ、患者さんからの同意がえられたら、誘導の合図として、相手の手の甲を手で軽く触れます。そうすると、患者さんはスタッフの腕を伝って「基本姿勢」をとることができます。「○歩(○メートル)くらいです」と大体の距離を告げ、歩く速さを確認しながら、進行方向に障害物があったり、人がいる場合は不安感をやわらげるためにそのことを伝えながら移動します。目的地に着いたら「椅子(カウンター)に着きましたよ」などと伝え、椅子やカウンターを触らせます。
薬剤ごとに形や大きさに違いがある場合はそれをヒントに識別することが可能なので、薬に触ってもらいながら説明するようにします。拡大鏡(ルーペ)や拡大読書器などの視覚補助具を利用している場合は使ってもらいます。薬局に拡大鏡を用意しておくと、老視のために見えにくくなっている人にもご使用いただけます。
点字スタンプで薬袋に薬剤名などを点字表記できれば理想的です。難しい場合は、包装に切り口を付けるなどすることで薬を識別しやすくなります。服用時間ごとに一包化することを提案しても良いです。
視覚障害のある人に便利なスマホ設定・アプリをまとめたリーフレット「見え方で困る人に便利なスマホ設定・アプリ」があります。
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