日本に住む外国人はこの30年で約3倍に増え、300万人を超えました。
薬局でも日本語での意思疎通に悩むことがあるのではないでしょうか。
日本語が母語でない患者さんとのコミュニケーションについて考えます。
監 修坂口 眞弓 先生 みどり薬局[東京都台東区蔵前]
現在、日本にはさまざまな国・地域出身の人が住んでいます(図1)。それだけ言語も多様で、英語が通じるとも限りません。
「在留外国人に対する基礎調査(令和3年度)」では、自身の日本語会話力を「日常生活に困らない程度以上」と回答した外国人は8割を超えています(図2)。しかし、ある程度の日本語会話力があっても、病気や薬剤の説明を十分に理解したり、自分の症状を詳しく説明することは難しいということもあります。
英語のコミュニケーションについては、「外国人患者対応のための英語コミュニケーションマニュアル」(くすりの適正使用協議会)などがありますが、先述の背景から、ここでは日本語でのコミュニケーションについて考えてみます。
日本語が母語でない患者さんへの対応としては“やさしい日本語”を使うことが大切です。“やさしい日本語”とは、日本人が外国人との相互理解を深めるための重要な手段の一つであり、単に分かりやすく言い換えればいいというものではありません。笑顔、アイコンタクト、相づち、相手の話すスピードや反応に合わせて会話をするなど、患者さんへの配慮や心掛けが基本です。
話し方の基本は、短く区切ってゆっくり話すことです。例えば、「これは・○○の薬です」「食後に・△錠・飲みます」などです。私たちも英語がそれほど得意でない場合、ゆっくりと抑揚をつけ、区切って話してもらうと聞き取りやすいですが、それと同じです。
理解しやすい言葉に言い換えます。ポイントと例をまとめました。
適宜「話す速さは大丈夫ですか?」「ここまでで、分からないことはありますか?」など、患者さんの理解度を確認しながら会話を進めます。説明の最後には、どの患者さんとも同じように「困ったことがあればいつでも来てください」と伝えます。
先述の調査では、病院を受診する際、おおよそ8人に1人は多言語翻訳機・アプリを利用していると回答しています。伝えたい情報が整理された日本語で話しかける方が、機器の翻訳精度も向上します。
また、イラストを指さして使用する“コミュニケーションボード”があると更にコミュニケーションがとりやすくなります。
言葉の壁をできるだけ低くし、行き違いなどをなくすことが、日本語が母語でない患者さんの健康維持・増進、薬局への信頼、日本での暮らしやすさにつながっていきます。
当社ウェブサイトでは、ご利用者の利便性向上と当社サービスの向上のためCookieを使用しています。また、当サイトの利用状況を把握するためにCookieを使用し、Google Analyticsと共有しています。Cookieによって個人情報を取得することはありません。Cookieの使用にご同意いただきますようお願いいたします。詳しくはこちら