支援が必要な患者さんをしかるべきところへ「つなぐ」ことも薬剤師の大切な務めのひとつです。

今回のケースでは
✓｢○○さん、変わった様子はありませんか？」と、それとなく家族に知らせる。
✓一人暮らしであれば、民生委員や地域包括支援センターに情報提供し、
　日頃から行動を気にかけてもらうように依頼する。
このような支援ができるとよいですね。

まずは、地域の人々のことをよく知ることと、行政ともつながりを持つことの2点です。
そのためには薬局の中にとどまっているのではなく、外へ出る必要があります。

たとえば、こども支援センターや地域包括支援センターなどが開催している会に
聴講者として参加してみるとよいですね。
継続していくことで、だんだん地域の人々のことがわかってきて、
行政ともつながりができてきます。

地域の人々を薬局に呼ぶという方法もありますね。

たとえば、個別のお悩み相談会や、ゲストスピーカーを招いたセミナーやワークショップなどの
イベントの実施です。
ゲストスピーカーに障害のあるお子さんを持つお母さんを招いたワークショップに、
区役所の障害福祉課長に出席していただいたことがあります。
現場で困っていることなどを直接知っていただくことができて、
薬局が地域の人々と行政をつなぐ役割を果たせたように感じました。

主業務に加えて、どこまで時間をかけられるかは薬局の形態によって異なります。
残念ながら収入にはなりませんが、対人スキルなど、得られるものはあります。

個別のお悩み相談会は、うつ病や自殺者が増えているというニュースを見て
｢自分も何かをしたい」と見返りを求めずに始めました。
取り組みを知って「一緒に活動したい」と手上げしてくださったフリーランスの看護師さんからは
逆に「プロの傾聴スキル」を学ばせてもらえており、たいへんありがたいなと感じています。

活動を通して学んだことをまとめて、研究発表につなげることも可能です。
患者さんとのさらなる信頼関係の構築や患者さんの笑顔がなによりの原動力となっています。

研究発表への意欲についても人それぞれだと思いますが、メリットの一つになりますね。
薬剤師にとって、ルーチン業務だけをこなすより、さまざまな活動を通じて、
✓患者さんとさらなる良き信頼関係を築けたと実感できた時
✓悩んでいた患者さんが笑顔を見せてくれた時
｢やってきてよかった」と達成感を感じることができるのではないかと思います。