地域の人々に頼られる薬局を目指してさまざまな活動にご尽力されている
みどり薬局（東京都台東区蔵前）の坂口眞弓先生と田中みずき先生に、
それぞれの患者さんに合わせた服薬指導・声かけ・支援のポイントについて伺いました。
「ステロイド外用薬」を例にあげて考えてみたいと思います。ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎等において有用性が認められている薬剤です。しかし、ステロイド内服薬の副作用との混同やアトピー性皮膚炎そのものの悪化をステロイド外用薬の副作用ととらえてしまうことを発端として「使用は好ましくない」と誤解されている患者さんがいます1)。
このような場合、まずは患者さんの話をよく聞いて「いつ情報を入手したのか」、「どこに何が書いてあったのか」、「誰が言っているのか」などの点を確認します。情報を鵜呑みにして「使用したくない」と思っている場合もあれば「その情報って本当なの？」と半信半疑である場合など様々なケースがあるので、傾聴して患者さんの心境を確認します。いずれにせよ不安な気持ちがあってこその発言であることに変わりはないので、「それは不安になりますよね」と共感します。
情報の中身について否定はしません。頭ごなしに否定してしまうと、患者さんは自分自身も否定されたような印象を受けてしまうからです。「その投稿を書いた方は、ステロイド外用薬を使ってそのような経験をしてしまったのですね。ステロイド外用薬を否定している記事を見つけてやっぱりそうかと思われてしまったのですね」のように伝えます。
続いて正しい医療情報を整理して適切に提供します。提供する内容については患者さんの情報のとらえ具合（鵜呑みにしているのか半信半疑なのか）や、理解度によって調整をします。
最後に「先生はあなたの症状を目で確認して適切な薬剤を決定しています。その先生の判断を信頼して、処方された薬剤を正しく使用した方が早く良くなると私は思いますよ。もし、何かあったらすぐに相談してくださいね」と自分自身の考えを伝えます。薬剤師としての責任感のある発言と、引き続きサポートしていきますという姿勢で患者さんの不安を解消もしくは軽減させることが必要です。
参考文献
1) アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018（日本皮膚科学会）
「相談できるママ友がいない」「両親にはアドバイスをもらっているけど新しい情報も欲しい」「ネットやSNSには情報がたくさんあるけれど、ありすぎるがゆえに自己判断するのが難しい」という声を多く耳にします。そのような観点からも、かかりつけのクリニック・薬局を作ることをおすすめしています。更に地域の支援情報（例えばお子さんがいる方には「子育て支援センター」「子育てサロン」などで保健師さんなどからアドバイスが得られる）についても提供するようにこころがけています。
新型コロナウイルス感染症について、「〇〇で予防できる」「ワクチンの有効性や安全性」などについて多くの方が関心を持っている中、根拠が明確ではない情報や、時に誤った情報もSNSで拡散されている現象を目にしました。医療者としてこれを見過ごすことができず、薬剤師の立場でSNSを使って正しい情報の発信を行うように努めました。このような特別の場合には最新情報をまとめた資料を薬局に置くなどの取り組みも行っています。
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